フランスに住んでいると、日本と違う文化や慣習を発見して面白いなぁ~と思う事が多いです。パリに来たばかりの頃は、夫の家族と一緒に過ごすクリスマスの集まりも小さな違いや発見がたくさんあって、とても新鮮でした。
今年のクリスマスはもう終わってしまいましたが日本とは違う、そしてたぶんフランスの田舎とも違っているであろう、パリのフランス家庭のノエルの過ごし方を、時系列と共に紹介してみたいと思います。
18:00
同じメトロの沿線上で数駅離れている夫の実家へ。
いつものディナーの集まりは19時半~20時頃に到着しますが、クリスマスは準備の手伝いなどがあるので少しだけ早い時間。
ちなみに、家で過ごす家族の集まりでも、クリスマスはきちんと正装します。
男性陣はシャツにネクタイ、ジャケットを羽織って、女性陣は華やかにドレスアップした服装で。最初の頃は、「いつものメンバーで家での集まりなのに?!」とちょっとびっくりしたのですがフランス人の友達のFBを見ても、子供達がシャツにネクタイをしている写真がアップされていたりするので、他のフランス家庭もきちんとした服装で集まっているみたいです。
18:30
アペリティフの準備をしながら、他の家族が集まるのを待ちます。
持ち寄ったプレゼントは、そのまま渡すのではなく、一度クリスマスツリーの下にまとめて置きます。たくさんあるので、誰宛てのものなのか、きちんとプレゼントに名前を書かないといけません。時々、名前が付いていなくて「これ誰のー?!」と叫ばれていたり、贈る側の本人も名前を書くのを忘れて「これは誰宛てのだったっけ?」と途方に暮れることがあります。子供達が間違って開けてしまって、親が「あ!これは○○へのだった!」と言って奪い取るのも、よくあるパターン。
19:00
家族がみんな集まったら、シャンパーニュで乾杯!
いつもよりも少し早いスタートですが、真っ先にプレゼント交換があるので、たぶんその為。テーブルにはカナッペやパンシュープリーズ、少し遅れて温かいフィンガーフードなどが並びます。
ここで、早速プレゼント交換です。
私は子供の頃のクリスマス会のようなイメージがあって、普通ケーキを食べる頃にプレゼント交換をするものだと思っていたので、最初からプレゼントを渡し合うことにも、びっくりしました。
そして一番に驚いたことは、いつもこのプレゼント交換が、とても慌ただしく嵐の中で繰り広げられるような時間だということ。プレゼントをもらってその場で開けている最中に、他の人からも「はい、これ私から!」と手渡されるし、自分もタイミングをみて皆に配らなくちゃいけないし、そうしつつもプレゼントを開けて「ありがとう!」という喜びを相手に伝えなくちゃいけないし、すごく忙しくて、最初の頃は綺麗にラッピングしてあるものもお構い無しにビリビリに破いて、どんどん開けていく皆のそのスピード感と豪快さにもカルチャーショックを受けました。
とても楽しい時間でもあるのですが、毎年繰り広げられるカオス状態のプレゼント交換が可笑しくて、いつも笑ってしまいます。
19:30
プレゼント交換が終わったら、やっと落ち着きを取り戻して、おしゃべりをしながらアペリティフタイム。話すことはやっぱり時事ネタが多いです。今年は、黄色いベスト問題や、絶対に話題に上がるだろうと思っていましたがカルロス・ゴーン氏の勾留についてなど。
黄色いベストについては、家族や私の周りの友人達は全くその運動を支持していないので、それについての批判や面白話。これはまた別で記事にしたい思います。
カルロス・ゴーン氏については、日本の拘置所での制度について。「拘置所ではずっと畳みの上で正座してないとダメなんでしょ?」といったフランス人の勘違いもあれば「寝る時はうつ伏せはダメで、仰向けでしか寝てはいけない」という本当なのか日本人の私でも知らない事があったり。
20:30
ディナーのためにテーブルへ移動。
席は男女が交互になるように、家主によって決められているので、自分の名前のある席へ。ここにまたお義母さんからの、二つ目のプレゼントが各席に置いてあります。それぞれアート本や、アクセサリー、小物など、私は小さなお財布をもらいました。旅行の時に便利そう!職人のハンドメイドらしく、パリのアトリエのカードが付いていました。
前菜はやはり定番のフォアグラ、夫がフォアグラが大好きなのでこれから先もずっと変わることはなさそうです。甥っ子がフォアグラが嫌いで、一時期彼だけ別メニューだった時がありました。その時は、オマール海老だったので「私も別メニューがいい!」と密かに思ったのですが、今年は別メニューはなし。私の隣に座っていた甥っ子に「あらら、フォアグラ食べられないじゃん」と言ったら「うん、食べられない…」と答えていたのですが、そのあと頑張ったのか、半分だけ食べていました。
メインはカットされた七面鳥と野菜のテリーヌがたっぷりのソースに浸かっている料理でした。フランスでは丸ごとの七面鳥が定番ではなく、その他のお肉やシャポン鶏を食べることも多いと思います。フランス料理はソースが本当に美味しい!
ディナーのテーブルでは、時事ネタではなくて割と雑談が多い気がします。そして、みんなが一斉に喋っています。人の話を聞くよりも、自分が話したくてしょうがないという感じ。
家でのディナーだけど、子供達は細かいテーブルマナーも注意されます。甥っ子がお皿の上にパンを載せていたら、お父さんが「パンはテーブルクロスの上に置きなさい」と言い、甥っ子が、お皿の右側のテーブルクロスの上に置きなおしたら、すかさず「パンはお皿の左側」とまた注意されていました。隣で聞いていた私は正直、「レストランじゃないし家なのに細かい~!」と思うのですが、きっとフランスの家庭では小さい頃からそうやって教えているんですね。
22:30
メインが終わったら、フロマージュとサラダ。
食事の時間が長いので、ちょっと動きたくなったり、周りの会話が面白くなかったら席を立って、お皿を替えたり、台所へ行って手伝いながら他の人と話したり、ちょっと休憩。
23:00
デザートの時間、フランスのクリスマスのケーキは、やっぱりビュッシュドノエルです。そして、誰かのお誕生日やクリスマスなどお祝い事の時は、デザートと一緒にまたシャンパーニュを飲みます。最初は、デザートにシャンパーニュというのがしんどくて、コーヒーや紅茶が恋しかったのですが、もう慣れました。
ちなみに、23時にデザートいうのは、かなり早いほう。うちの家族は月に1~2回はディナーで集まるし、頻繁に会っているのでクリスマスもあっさりですが、 普通のフランスの家庭では、0時頃にデザート、夜中までおしゃべりをして、お家に泊まっていくというスタイルだと思います。
夫の実家に集まるのはいつも24日ですが、翌日25日はお義姉さん夫婦が旦那さん側の家族と集まるので。お義姉さんが「もうそろそろ行くね」と0時前には帰ります。私達は、もう少し残って、おしゃべりしたり、少しだけ片づけたりして、それでも0時頃には帰りました。
0:00
たくさんのプレゼントを抱えて、お義母さんのアパルトマンを出たら夜の冷たい空気のなか、パリの街が暖炉のよい香りに包まれていました…!
静まり返った冬の道路の真ん中で、このクリスマスの夜はあちこちの家庭の暖炉が灯っている様子が目に浮かび、とても幸福な気持ちになりました♡