フランスの5月11日以降の外出制限解除について

3月17日から続いていたフランスの外出制限措置が、5月11日で一旦解除になることが正式に決定しました。

事前に感染のリスクが高い地域として「赤」と低い地域の「緑」のゾーンに区分けがされていましたが、正式発表のあった5月7日の時点で、パリを含む l’Île-de-France(イルドフランス)、les Hauts de France(オードフランス)、Bourgogne-Franche-Comté(ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ)、Grand-Est (グランテスト)が赤のゾーンのままでした。※Mayotte (マイヨット)も赤のゾーンですが、5月11日からの解除措置は見送られました。

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4月28日に発表された内容から大きな変更はないですが、いくつか追記します。(今後、各地域によって詳細が決定される事項や、状況により内容が随時変更となる可能性もあります)

●地域が「赤」または「緑」であるかに関わらず、衛生対策が尊重されていれば、美容室へ行くことが可能。
●「緑」のゾーンに限り、県知事・市長などの判断により、ソーシャルディスタンスなどの対策がきちんとなされていればビーチの開放は可能。
●100 km以上の移動制限、特に例外の対象となる可能性のある「家族の動機」については「死、病気の親族への援助は不可欠な理由であるが、例えば第二の住居への転居の場合はあてはまらない」とのこと。
● 店舗再開にあたっては、厳格なルールが適用される。 衛生対策に違反した場合、店舗は閉鎖される。
●「赤」と「緑」のゾーン共に、結婚式は不可能。緊急時には行政結婚式を行うことができるが、5月末にこの制限を解除するかどうかを検討する。
●公共交通機関でのマスク着用の義務に違反すると、135ユーロの罰金。イルドフランス圏において、混雑する時間帯(6:30〜9:30及び16:00〜19:00)に公共交通機関を利用できるのは,延期することのできない通勤利用や通学・通学の同伴、やむを得ない理由(健康上、司法・行政からの呼び出し等)がある場合に限られており、証明書の携帯が必要。
●フランスの特別養護老人ホームのすべてのスタッフに、流行が最も強かった地域には1,500ユーロ、他の地域へは1,000ユーロのボーナスが支払われる。
●TGVおよびIntercitésは予約が必須、総座席の50%のみの販売。運行本数は、通常時の20~30%、最大で40%に増加させる。

参照元 : RTL / Linternaute
※追記 : 誤りのある部分を訂正しました

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外出制限解除措置についての詳しい内容については、下記を参照してください。(以下、4月28日と5月7日・10日に在仏日本大使館から届いたメールの内容を転載しています)

・4月28日,フィリップ首相が国民議会において5月11日以降の制限解除等に関して演説をおこなったところ,概要を以下のとおりお知らせします。

【現状認識】
●3月17日以降,戦時下や感染爆発の際にも前例のない制限措置をとっているが,いつまでも続けるわけにはいかない。経済的にももたない。
●現在の様々な制限は有効であり,医療体制の崩壊を防いだ。4月14日以降,入院者数は減少に転じ,4月8日以降,重体患者数も減少に転じている。
●段階的に,確実に,賢明に,制限を解除してくべき。
●これから5月11日以降の制限解除方針について説明するが,今後状況が悪くなるようなことがあれば,5月11日という日付は後ろ倒しになる。
●医療体制は維持されているが,医療従事者は疲れ切っている。

【5月11日以降の基本方針】
●我々はウイルスと共に暮らさなければならない。ワクチン開発や集団免疫の形成はまだ先の話。ウイルスが広がるスピードを抑えなければならない。
●5月11日以降も毎週状況を確認し対応していく。6月2日以降,新たなフェーズに入れることを期待しているが,仮に第2波が確認されたら,再度外出制限に戻る。フランス国民の民度の高さを見せて欲しい。
●段階的に,そして地方によって濃淡をつけて制限を解除していく。地方・県によって状況は大きく異なる。明日から,カステックス制限解除担当長官を中心として各県議会等との協議を開始し,明後日からは,各県の民間団体とも協議を開始する。5月7日までに,各県毎の方針を固めていく。
●「ウイルスと共に生きる」,「段階的」,「地方毎に」が,基本方針の3本柱。
●5月11日以降を一言で言えば,「防御,検査,隔離」である。従来どおり,社会的距離,手洗い等を徹底していただきたい。

(防御(マスク))
●多くの状況においてマスク着用が推奨される。科学委員会による見解の変化もあった。マスクは殆ど意味が無いとしていたが,あるに超したことはない,と意見が変わった。
●従来我々は,医療用マスクを20週間分備蓄し,その他は輸入に頼っていたが,EU,米等と同様に,輸入が出来なくなり,需要が供給を上回ってしまった。
●我々は,マスクの国内生産を5倍に拡大し,医療従事者に優先的にマスクを供給し,布マスクの生産も開始した。現在,週に1億枚のマスクと2000万枚の布マスクを生産することができる。5月11日には十分な量のマスクが供給される。

(検査)
●5月11日以降,週に70万件の検査を行う。全ての検査は保険で100%カバーされる。科学委員会は,一日当たり1000〜3000の陽性者を見込んでいる。

(隔離)
●各県は,陽性者から濃厚接触者や伝染のチェーンを特定しなければならない。
●陽性者が出た場合は,その家族も検査されなければならない。
●STOPCOVIDは補完的な役割を果たし得るに過ぎないが,STOPCOVIDに関する議論や開発はまだ十分ではない。

【各論】
(学校)
●5月11日以降,保育園,幼稚園,小学校は再開可能とするが,登校は自由とする。マスクやジェル等を供給するが,子供のマスク着用は義務づけない。
●5月18日以降,中学校を再開可能とする。マスクを市町村から供給するので,先生も生徒もマスク着用を義務とする。
●幼小中学校は,15人以下のクラスとする。保育園は10人以下とし,医療従事者の子供が優先される。
●高校は当分閉校。5月末に,6月2日から再開できるか検討する。

(企業に対し(テレワーク))
●6月2日まで,テレワークは継続して欲しい。不可能な場合は,ローテーションを組む等して欲しい。
●業種毎に,コロナ対応マニュアルを作成している。現在33のマニュアルがあり,今後60まで拡大するので参照して欲しい。人と人との距離がとれない場合はマスクを義務付けて欲しい。
●部分的失業制度については,6月1日まで延長していく方針。

(商業施設)
●カフェ,レストラン,バー,ディスコ,大型ショッピングモール(4000平方メートル以上)以外の商業施設は5月11日以降再開可能。カフェ等は,6月2日以降の再開を今後検討していく。
●市場も5月11日以降再開できるが,地方自治体の判断で閉めることも出来る。
●商業施設では,1mの距離や人数制限,マスク推奨等につき,配慮する必要がある。

(移動外出・公共交通機関)
●5月11日以降,100km以下の移動は解禁。100km以上や県をまたぐ移動は現状どおり特別な場合(家族の理由等)に限られ,証明書が必要。
●RATPは70%程度に回復。市内交通は元に戻していく。席数は半減。
●タクシーも含め公共交通機関を利用する際は,マスクは義務。
●TGV, intercite等の長距離移動は増やさない。チケットは要予約。

(文化・スポーツ等)
●安全が確認されれば公園等も解放されるが,10人以上の集団利用は不可。
●コンタクトスポーツ・集団スポーツも不可。ビーチは6月1日まで閉鎖。
●図書館や,地方の小規模な美術館は5月11日以降再開。
●大型美術館,博物館,映画館,コンサートホール,パーティールームは引き続き閉鎖。
●大型フェスティバル・スポーツイベント等は,9月まで不可。サッカー2019-2020シーズンも再開せず。
●宗教施設は5月11日以降再開されるが,宗教行事は6月2日まで禁止。お墓参りも,5月11日以降可能。
●市役所の結婚式は5月11日以降も再開されない。

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・5月7日,防衛閣議にて,5月11日からの外出制限緩和が決定された。フィリップ首相及び6大臣による外出規制暖和に関する説明があったところ,概要をお知らせします。

(首相・保健大臣)
●本日の防衛閣議にて,5月11日からの外出制限緩和が決定された。仏全土は赤ゾーンと緑ゾーンの2つに分けられ,各ゾーンで制限緩和のあり方が異なる。
・ゾーン分けは,1.ウイルスの流行,2.病院の受け入れ能力,3.PCR検査の能力という基準に基づきなされた。
・赤ゾーンは,イル・ド・フランス圏,グラン・テスト圏,ブルゴーニュ・フランシュコンテ圏,オート・ド・フランス圏,海外県のマイヨット県。赤ゾーンでは引き続き,中学や公園は閉鎖。マイヨット県及びイル・ド・フランス圏では特別な注意が必要。マイヨット県では外出制限緩和の日付は5月11日より後となる。
・緑ゾーンにおいては,6月上旬から,レストランやカフェ,高校が再開する可能性がある。
フランス全土ゾーン分け地図
●高齢者や脆弱な者について,5月11日以降,外出制限を命じることはないが,各自の判断で責任を持って行動。
●仏全土においてPCR検査の能力は十分であり,医療保険で100%カバーされる。ドライブスルー形式や家での検査も可能となる予定。症状が出たら医者に相談し検査を受け,結果が出るまでは外出しないこと。自宅またはホテルでの隔離(isolement)が必要。右は,少なくとも8〜10日,症状がなくなってから2日間の期間。複数人で生活している場合,一室に閉じこもり,他の同居人と接触を避ける等注意をする。
・検査結果が陽性の場合は,医者が状況をフォローし,結果が陰性の場合でも,医者と対応ぶりを決める。
・陽性患者と接触した場合:自主隔離し,接触後7日後に,無症状の場合でもPCR検査を受けること。
●4.75億ユーロをEHPAD勤務者の特別手当として新たに拠出。

(教育大臣)
●小学校については,5月11日以降,100万人の生徒が学校に戻り,13万の教師がそれに対応する。この数字は,仏国内の50,500校の内の80〜85%にあたる。
●中学校については,緑ゾーンにおいては5月18日から開校する。
●高校については,緑ゾーンにおいては,6月上旬から開校する可能性がある。
●学年別に対応しつつ,授業進行に支障を来している生徒,医療従事者の子供等を優先すべき,詳細は各地域や教育機関に照会すること。

(交通大臣)
●公共交通機関は,5月11日から本数を増やし,車内で乗客同士の物理的距離が確保できるようにする。
●引き続きテレワークを推奨。出勤する場合でも,公共交通機関における混雑を防ぐために,勤務時間をずらす。
●イル・ド・フランス圏においては,ラッシュアワーの間,職業証明書携行者とやむを得ない理由(健康上,司法・行政からの呼び出し,子供の同伴)のある者以外による公共交通機関の利用を禁止。利用者が多すぎる場合は駅を閉める場合もある。約2万人の警察・治安部隊が協力。
●地域圏間の移動(SNCF)についても本数を増やすが,事前予約必須,収容能力の50%までしか乗車させない。
●公共交通機関における11歳以上の者のマスク着用を義務化。違反者は135ユーロの罰金。

(内務大臣)
●5月11日から,マイヨット県を除き,日常の外出に関しては証明書携行不要。
●ただし,居住地から直線距離100キロ以上の移動に関しては,職業上の理由や家族のやむを得ない理由を除き禁止。新たな証明書は,内務省HPから紙媒体及び電子媒体でダウンロード可能。違反者は135ユーロの罰金。
●100キロ以上の移動であっても,居住地の県内なら許可。コントロールの際に提示できるように,居住地を示す,住居契約,住所付請求書,小切手等を証明として携行すること。
●EU国境に関しては新たな令まで閉鎖。仏国境については,国境労働者等の例外を除き,少なくとも6月15日までは引き続き閉鎖。
●仏国内に入る者(注:国籍問わず,別途定める感染流行地域からの入国の場合)について,原則14日間の隔離(quatorzaine)を実施。現時点では,シェンゲン圏からの入国は隔離対象外。ただし,仏海外領土からの入国は対象。

(経済大臣)
●5月11日,40万の企業,87.5万名の労働者が仕事に戻る。
●イル・ド・フランス圏を除き,40,000平方メートル以上の大型商業施設についても,地域圏知事の同意があれば再開可能。
●連帯基金は5月末まで維持する。
●小規模企業について,3月,4月,5月分の社会保険料・税の支払は免除する。

(労働大臣)
●特にイル・ド・フランス圏においては,可能な限りテレワーク推奨。

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1.5月11日から外出制限が段階的に解除されますが,フランス全土において、11歳以上の乗客に対し,公共交通機関利用時のマスク着用が義務付けられます。

2.イル・ド・フランス圏において,混雑する時間帯(6:30〜9:30及び16:00〜19:00)に公共交通機関を利用できるのは,以下(1)〜(7)の場合に限られており,証明書の携帯が必要です。証明書不携帯の場合は,乗車を拒否されることとなります。なお,5月11・12日は新規制適用のための準備期間となっています。

(1)居住地・職業上の活動が行われる場所間の移動,延期できない通勤利用。(※賃金労働者・賃金労働者以外についてそれぞれ証明書あり。)
(2)居住地・教育施設間の移動であり,就学者又は就学者の付き添い者によるもの,試験を受けるために必要な移動。
(3)診察,相談,専門的ケアのための移動であり,遠隔実施や自宅付近で確保されないもの。
(4)家族のためのやむを得ない移動,脆弱な人々のサポート,保育のためのもの。
(5)警察当局又は司法当局によって課された義務による移動で,国家警察,憲兵隊,その他公共機関又は専門家に出頭,訪問等する義務から生じる移動。
(6)行政裁判所または司法当局からの召喚状に起因する移動。
(7)行政当局の要請により,指定された条件の下で公共目的のミッションに参加することを唯一の目的とする移動。

 
上記(1)(賃金労働者以外),(2)〜(7)用証明書フォーマットは以下のHPに掲載されています。

上記(1)(賃金労働者)については,次の証明書が必要となります。

なお,上記(1)・(2)の移動を反復的に行う場合には,今後の事態に変動がない限り,衛生緊急事態の期間中使用可能とのことです。

これら証明書及び関連情報は以下のサイトからダウンロードできます。
イル・ド・フランス圏HP

3.上記時間帯以外には,証明書の携行は義務付けられませんが,コロナウイルス感染防止の観点からも不要不急の外出は控えることをお勧めします。

4.5月11日の週の公共交通機関の運行予定は以下のとおりです。日々状況に応じ、変更される可能性がありますので、最新情報は各運行会社のHPにてご確認ください。
(1)SNCF
Transilien:60 %,TER:40〜50%,TGV・Intercites:30%

(2)RATP
RERA線:75%,RERB線:65%,メトロ1号線及び14号線:100%、13号線:85%,その他2〜12号線:75%、トラム:85%、バス:75%(夜間バスは100%)
なお,運行時間帯は6〜22時であり、下記のメトロ60駅は閉鎖予定です。
2号線:Courcelles, Victor Hugo, Place de Clichy, Stalingrad, Villiers et Barbes-Rochechouart,
3号線:Bourse, Malesherbes, Havre Caumartin, Villiers, Opera et Republique,
4号線 : Alesia, Saint-Placide, Barbes-Rochechouart, Raspail et Strasbourg-Saint Denis,
5号線:Breguet-Sabin, Campo-Formio, Hoche, Jacques Bonsergent, Laumiere, Quai de la Rapee, Republique et Stalingrad,
6号線:Raspail et La Motte Picquet-Grenelle,
7号線:Cadet, Pierre et Marie Curie, Porte de Choisy, Tolbiac, Opera, Danube, Buttes Chaumont et Stalingrad,
8号線:Felix Faure, Filles du Calvaire, Ledru Rollin, Liberte, Lourmel, Maisons-Alfort Stade, Michel Bizot, Strasbourg-Saint Denis, Grands Boulevards, Opera, Porte de Charenton, La Motte Picquet-Grenelle et Republique,
9号線:Alma Marceau, Charonne, Exelmans, Jasmin, Maraichers, Havre-Caumartin, Strasbourg-Saint Denis, Republique et Grands Boulevards,
10号線:Cardinal Lemoine, Charles Michels, Chardon-Lagache, Segur, Vaneau et La Motte Picquet-Grenelle,
11号線:Jourdain, Rambuteau et Republique,
12号線:Abbesses, Assemblee Nationale, Jules Joffrin, Marx Dormoy, Notre-Dame de Lorette, Rennes, Rue du Bac et Volontaires,
13号線:Brochant, Liege, Pernety et Place de Clichy,

参照元: 外務省「海外安全ホームページ

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