フランス映画「L’incroyable histoire du facteur Cheval(邦題・シュヴァルの理想宮)」

数か月前、シャンゼリゼ大通り近くにある映画館シネマ・バルザックで、フランス映画「L’incroyable histoire du facteur Cheval」を観てきました。

すごく感動的な映画で「ブログに書いておすすめしたい!」と思っていたのですが、その時点では日本での公開日が未定だったことや、映画を観た日はノートルダム大聖堂の火事があった日でもあり、夜の上映開始を待っている時にちょうど燃え始めたノートルダム大聖堂の火事の一報をスマホで知り、家に帰ってからも、その後はずっとノートルダムの事が気がかりで、結局書かずじまいでした。

ですが、日本でも「シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢」として12月13日から全国公開が決まったとのことで、今回、ブログに書くことにしました!

実話をもとにしたストーリーで、建築の知識も全くない郵便配達員の男がたった一人で石を集め、33年の月日をかけて「Palais idéal(理想宮)」という建築物を作り上げるまでの物語。

郵便配達員のフェルディナン・シュヴァルは、フランス南東部ドロームの山の中を1日・数十キロも歩き郵便を届ける仕事。

寡黙で不器用、そして読み書きが不得意な彼は、配達するポストカードに描かれている世界各国の様々な建築物(エジプトのピラミッドやルクソール神殿、タイの寺院、イスラムのモスクなど)を見るたびに心を躍らせていた。

ある日、配達中に山道でつまずいて奇妙な形の石を見つけた。その石に魅了され家に持ち帰りひたすら眺め、長い間想像を膨らませたのちに様々な建築様式を融合させた彼独特の宮殿を作り始める。

(昼間は数十キロを歩き配達をし、山のなか遠くまで行き石を集め、夜遅くまで宮殿作りに没頭していた彼は 仕事に10時間、宮殿作りに10時間を費やし、残り4時間が睡眠時間だったとか…!)

普段は自分の気持ちを伝えるのも苦手な無口な彼が、ただひたすら宮殿作りに情熱を傾けていく様子は、自分だけの世界を表現する喜びがいっぱいで微笑ましいのだけど

ただそれだけが理由ではなく、宮殿作りへの異常なまでの情熱は家族の不幸に悲しみ、他人には理解されがたい彼の内面からくる苦しみも入り混じっていて…

ストーリーとしては悲劇的ではなく、彼の人生は辛いこともありながら、最終的には周囲に見守られ、どちらかというとハートフルな内容なのですが、美しくピュアな心に感動すると同時に、彼の孤独な気持ちに胸が締め付けられる…。この対比が切なくて、映画館では泣いている人ばかりでした…!(私もだいぶ泣きました)

宮殿が出来上がるまでの物語というよりは、彼自身の人生と内面にフォーカスしたストーリーで、すごくよかったです♡ 是非、日本でも多くの人に観てもらいたい!

ちなみに実際の「Palais idéal」は観光地となっているので、見学可能です。 私はまだ行ったことがないので、近いうちに実際のシュヴァルの理想宮を見に行きたいと思っています!行ったら、またこのブログで写真など紹介します♡

Palais Idéal du Facteur Cheval(シュヴァルの理想宮)
住所 8 Rue du Palais, 26390 Hauterives
公式サイト http://www.facteurcheval.com/


私達はミチュエル(任意の医療保険)の無料特典で、この映画を申し込んでいたので当日は会場に脚本家が来ていて、上映後に「質疑応答タイム」がありました。その一部をご紹介します。

(※ネタバレというか、映画の裏側に関する話を聞けたので、映画を観る前に詳細を知りたくない人は
以下、読まないほうがいいかもしれないです)

Q・この映画は実話?なにか記録されている本や日記があったの?
A・短期の初等教育しか受けていなかったフェルディナン・シュヴァルは読み書きが不得意だったので残念ながら、手記のようなものはあまり残っていなかった。 現存する村の人への聞き込みで「おじいさんから聞いた話では~」「○○という風に聞いている~」という話は沢山聞けたので 実話にかなり近いと思う。

Q・実際に現地で撮影したの?理想宮が出来上がっていく過程はどのように撮影したの?
A・現地で撮影をした。映画だとものすごく大きな宮殿に感じるかもしれないけれど、実際はそこまで大きくはない。出来上がっていく過程は、今はエフェクトで調整できるからCGの部分もある。

Q・主演のジャック・ガンブランがすごく良かったけど、最初から彼に決まっていたの?
A・最初から決まっていた訳ではないけれど、本当に彼でよかった。それにジャックが本人なんじゃないかと錯覚するほど顔も似ている。ウィキペディアで実際のフェルディナン・シュヴァルの顔写真と見比べてみて。

Q・主人公が無口で、でも彼の内面が伝わってきてよかった。脚本を書くにあたって気を付けたことは?
A・意図的にセリフを少なくしたが、その方が彼らしさや、内面がより強調されてよかったと思う。ジャック・ガンブランも、素晴らしい演技をしてくれた。

Q・仕事と宮殿作りに、そんなに時間を費やして信じられない…!性格などの彼の描写をみて、もしかしてアスペルガーだったの?
A・ものすごい集中力だから、おそらくアスペルガーだったと思う。彼だけじゃなく、偉業を成し遂げた著名人には多い。

TAGS

SHARE THIS STORY