デモに呆れるフランス人たち

昨年から続いている”黄色いベスト”Gilets jaunesの抗議活動。以前、「なぜデモをするのかGilets jaunesについて」で、その理由について書いた。なぜ書いたかというと、日本のメディアが破壊行為ばかりを取り上げている様子を見て、実際に現地で私が感じている事とは若干の差異があったから。

だけどフランスの報道でも、そうなのかな?と疑問に思う部分もある。抗議活動を支持するフランス国民は約70%という調査結果を知った時だった。 正直、意外だった。「そんなにいる?!」と思ったのだ。

私の周りの家族や友人達で、Gilets jaunesに賛同している人は誰もいない。どちらかというと、呆れている人達ばかりだ。

私がパリに来たばかりの頃は、過去に革命を起こした国だからフランス人はデモが好きで、みんな一度はデモに参加したことがあるものだと思っていた。ある時、オデオン近くのレストランで家族とランチをしていたら、デモをする人達が近くを通って行ったのでそれを見ながら、夫に「今までデモに参加したことある?」と聞いたら、答えはノン。

デモをする人達は、生活に困っていたり社会や政府に不満があるからで自分はデモに参加してまで抗議するようなことは何もない。そして中には、自分自身のせいで生活が苦しいのに、それを社会システムが悪いからだとデモをすることで政府に不満をぶつける人達も一定数いること。彼らにとって自己責任と認めるのは辛い、他者に責任を押し付けるのが一番楽だから…と言った。

そして、家族や周りの友人達もデモに参加したことがない人達がほとんどのようだった。確かに、私がフランス人でもデモには参加しない。

フランスは特に様々な補償や制度が充実しているので、その中でも「もっともっと」と欲しがる人達の主張には、私も「贅沢だな」と思ってしまうことが度々ある。家庭の事情や、健康問題ならともかく、そうではない場合は、自己努力で解決できる部分も大いにあるのに…。努力をしない人達と、恵まれている社会。

昨年12月にストラスブールでテロがあった。それをGilets jaunesの一部の人達は政府の陰謀だと言い出して、ニュースにもなった。夫曰く、昔だったら、男達が集まるカフェのカウンターで誰かがそんな陰謀説を話し始めたとして「お前はバカだからもう話すな、あっち行ってろ!」疎まれていたはずなのに今のインターネット社会では、そんな話ですら信じてしまうフランス人が多いという事実はかなり問題だと。

友人達の集まりでは、そんな一部の人達のことを含め「Gilets jaunesは頭が悪い人達」だからと一括りにされ、かなり辛辣な意見ばかりで、それはそれでちょっと気の毒になった。陰謀説を信じているのは一部の人達で、全員ではないのだから。私の周りの大抵の人は批判的だし、実際そういう意見を見聞きして同意できる部分も多い。けれど、自分も含め偏見がないように発信していくように気を付けたいなと思っている。

TAGS

SHARE THIS STORY